うつ病で貰える傷病手当金とは? 支給額や支給期間、支給条件や申請手続きを紹介

傷病手当金とは、病気や怪我で働けない為、給料がもらえない場合に、健康保険から貰えるお金です。

手続きが面倒だと思う方もいらっしゃると思いますが、収入が途絶えた場合には非常に助かります。

それほど難しい手続きではありませんし、退職していても受給できる可能性があるのです!

 

 

傷病手当金とは?支給額や支給期間は?

e72001241f07a3b9254583c491b3004d_s 画像出展:http://www.photo-ac.com/

傷病手当金は、病気や怪我で会社を休んで給料が貰えない場合に支給される制度です。

自分が加入している健康保険協会・健康保険組合から貰うことができます。

健康保険に加入している被保険者本人が、いくつかの条件をクリアーすれば傷病手当金は貰えます。

そして、条件を満たせば退職後でも継続して貰えます。

傷病手当金はうつ病でも申請でき、申請する人が非常に増えているのです。

 

支給額

1日につき、標準報酬日額の3分の2を受け取ることができます。

標準報酬日額の決め方は、毎月の給料や賞与をもとに決められ、給与の6~7割が支給期間中に貰えるという感覚です。

 

支給期間

最長1年6ヶ月です。

これは、1年6ヶ月分支給されるということではありません。

1年6ヶ月の間に復職したり、 再び同じ病気やケガで仕事に就けなくなった場合でも、1年6ヶ月に算入されます。

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画像出展:https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat310/sb3040/r139

傷病手当金は貰い始めてから1年6ヶ月が限度ということです。

もし、1年6ヶ月経っても治癒しなければ、障害年金を請求できます。

 

傷病手当金の時効

傷病手当金の時効は傷病手当金の権利が発生した日ごとに、その翌日から2年です。

傷病手当金の権利発生日から2年経っていなければ、退職後の傷病手当金の申請は可能です。

 

在職中の傷病手当金の支給条件と申請手続き

在職中に支給される条件

1.病気やケガによる療養中・労働不可能であること

保険診療でない自費診療でも支給の対象となります。

業務上や通勤災害の場合は、労災保険の対象となる可能性がありますので、支給対象外です。

 

2.病気や怪我のために労働できない日が、連続して3日以上あること

3日間には日曜・祝祭日も含まれますが、一度出勤すると待期期間が中断します。

その3日間に対しては傷病手当金は支給されません、4日目から貰えます。

 

3.休業期間に給与の支払いがなかったこと

給与の支払いがあっても傷病手当金の日額より少ない場合にはその差額分が支給されます。

自営業の人など国民健康保険に加入している場合は傷病手当金はありません。

 

4.健康保険の一般被保険者であること

これは、絶対条件となります。

 

在職中の申請手続き

1.会社と休職を相談する

病気、怪我のため、休まなければならないことを相談します。

一般的には、ここで医師の診断書が必要になると思います。

 

2.会社の担当者に、傷病手当金支給申請書を用意してもらう。

給与の締切日が経過したら申請します。

 

3.医師に傷病手当金支給申請書を記入してもらう

「傷病手当金支給申請書」には「療養担当者が意見を書くところ」という欄があります。

病院に行って、医師に「労務不能」の証明をしてもらう必要があります。

また、傷病手当金の申請時にも医師の「診断書」が必要な場合があります。

「傷病手当金支給申請書」の記入や「診断書」の発行にも費用がかかります。

精神疾患の治療は長くなるケースが多いです。

治療費用の負担を減らすため「自立支援医療制度」の利用をおすすめします。

 

4.会社に書類を提出する

「傷病手当金支給申請書」や「診断書」を会社に提出します。

 

5.傷病手当金が支給される

通常は1ヶ月ごとに申請します。

申請してから、約1ヵ月後に口座に振り込まれます。

 

受給開始日から1年6ヶ月以内に病気が再発した場合

・在職中に傷病手当金を受給しながら退職するケース

このケースでは、待期期間無しで傷病再発により「労務不能」となった初日から傷病手当金を申請できます。

「待期期間」は、原則として、同じ傷病については1回クリアーすればOKです。

 

・1年以上通常勤務した後、「うつ病」が再発のケース

「社会的治癒」が認められれば、前回の「うつ病」とは別個の病気としての「うつ病」で、新規に傷病手当金が受給できます。

最初に傷病手当金を受給した日から1年6ヶ月以上経過していて、途中に1年以上通常勤務をしている場合です。

 

 

退職後の傷病手当金の支給条件と申請手続き

退職後に支給される条件

1.退職日に労務不能であること。

退職後も継続して傷病手当金をもらう予定の場合、退職日当日には絶対に出勤してはいけません(有給休暇はOKです)。

退職日に労務不能であることが絶対条件であるため、退職日に出勤すると傷病手当金の受給が中断してしまうので、傷病手当金が貰えなくなってしまいます。

 

2.退職日の前日までに連続3日以上の労務不能期間があること。

「労務不能期間」は土・日・祝祭日等の公休日でも有給休暇でもOK

 

3.退職日まで健康保険に継続して1年以上の被保険者期間があること。

退職後も傷病手当金を継続受給するためには、退職日まで継続して1年以上の被保険者期間が必要です。

たとえ1日のブランクがあってもダメですが、会社・保険者が違っても1年間継続して被保険者であれば大丈夫です。

ただし、共済組合、任意継続被保険者、国民健康保険の加入期間は含みません。

 

・退職後に国民健康保険加入

国保に加入していても、在職時代の健康保険から傷病手当金が貰えます。

退職日以前から傷病手当金を貰っている、貰える状態であれば、国民健康保険に加入した後でも傷病手当金はもらえます。

 

・退職後に任意継続被保険者になる

任意継続被保険者となった後に発生した傷病では貰えません。

退職日以前から傷病手当金を貰っている、貰える状態にあれば、任意継続被保険者となった後でも傷病手当金はもらえます。

 

4.退職日に傷病手当金を貰える状態にあること。

・退職日まで傷病手当金を貰っている。

退職日に労働不能であること。

退職後も労働不能であり、傷病手当金支給日~1年6ヶ月以内であれば退職後も傷病手当金をもらえます。

 

・退職日まで傷病手当金以上の給与が支給されていた。

傷病手当金をもらえる状態だったが、退職日まで会社から傷病手当金以上の給与を貰っていたために、傷病手当金がストップしていた。

傷病手当金が全額ストップしていた期間は傷病手当金支給期間としてカウントしません。

 

・在職中は有給休暇をとっていた。

退職日まで年次有給休暇で休職していたために、会社から賃金をもらっていた。

そのため傷病手当金を申請しなかった。

 

・傷病手当金をもらいはじめてから1年6ヶ月以下である。

退職日まで有給休暇で休んでいたり、賃金が支払われていた場合には、退職日の翌日から1年6ヶ月が傷病手当金のもらえる期間となります。

 

退職後の申請手続き

・会社に在籍している期間が含まれている場合

退職日までの在職期間分を1回も申請していない場合、在職最後の期間分を「第1回目」として申請しないと傷病手当金はもらえません。

在職最後の期間分を退職後に申請すること自体は可能で、問題ありません。

退職日までに欠勤している期間が含まれている場合は、会社を経由して健康保険協会または健康保険組合に「傷病手当金支給申請書」を提出します。

基本的に在職時と同様の手続きとなります。

 

・会社に在籍している期間が含まれていない場合

基本的な流れは在職時と同じです。

しかし会社とはもう関係ありませんので、全て自分で申請します。

「事業主の証明欄」への記入や会社の代表者印も不要です。

ですので、退職後の申請は会社を通さず直接、健康保険組合に提出することになります。

傷病手当金の申請用紙は、最寄の社会保険事務所でもらえます。

 

雇用保険(失業手当)受給期間を延長する

退職後、傷病手当金を貰っている間は雇用保険は貰えません。

傷病手当金を貰い終わってから雇用保険を貰いましょう。

ただし、病気・怪我等で身体・精神の状態が仕事をする状態にはない場合には、雇用保険(失業手当)は受給出来ません。

 

傷病手当金は、特に退職にあたっての立回りによっては貰えなくなるケースがあります。

病気による退職となると、すぐに復職できないと思われます。

ですから、退職後も傷病手当金を貰えるようにして、お金の心配をせずに治療に専念したいですね。