うつ病の通院医療費を軽減できる、自立支援医療制度とは?申請方法も紹介

うつ病などの精神疾患は、焦らずに時間をかけて少しずつ改善していく場合が多いです。

そのため治療は長期にわたる通院が必要になり、経済面で考えると大きな負担となります。

そこで、「長期通院が必要な精神疾患の患者さんの経済的負担を軽くしよう」という目的で作られた制度が「自立支援医療」になります。

 

 

自立支援医療制度とは?

f51bf937dd1e74cd099a372d25f9d2ce_s画像出展:http://www.photo-ac.com/

かんたんに説明すると、精神疾患の患者さんの医療費(診察費・投薬費・治療費など)を軽減する国の制度です。

自立支援医療には、

1精神通院医療(主に精神疾患の方が対象)

2更生医療(主に成人で身体的な障害がある方が対象)

3育成医療(主に未成年で身体的な障害がある方が対象)

があります。


精神通院医療は、通院が必要となる、てんかんを含むすべての精神疾患患者が対象となります。

具体的な病名としては、うつ病、統合失調症、知的障害や不安障害などがあります。

この自立支援医療制度は、外来で行われる全ての医療が対象の制度で、入院中の患者さんは適用外となります。

具体的には、病院、診療所、薬局のほか、往診、デイケア、訪問看護、てんかんの診療、およびお薬代なども自立支援医療の適用となります。

うつ病などの精神疾患の治療は短くても数か月、長いと数年通院が続くこともあり、治療期間が長くなれば経済的負担は深刻です。

こういったことから、経済的な負担を和らげるために作られたのが自立支援医療です。

普段、医療を受ける際には医療保険が適用され、通常は3割負担になります。(70歳以上の高齢者や小学生未満のお子様は2割負担)

つまり通常の医療保険制度では医療費の3割を自分が払い、残りの7割は国が負担してくれるということです。

これが自立支援医療制度では、患者であるアナタの負担は1割まで下がります。

また、自己負担費は世帯収入に応じて、上限が設定されています。

しかし、所得が一定以上ある方(市町村民税が235,000円以上の方)は基本的には自立支援医療を受けることが出来ません。

 

自立支援医療制度の申請方法

自立支援医療の適用となるかどうかの最終的な判断は主治医がします。

主治医に自立支援医療の適用を確認する

自分が自立支援医療の適用になるのかどうかを主治医に相談してみましょう。

 

自立支援医療支給認定申請書をもらう

市町村の担当窓口に行って、自立支援医療の申請用紙をもらいましょう。

担当窓口は市役所であったり、保険センターであったりと都道府県で違います。

最近ではクリニックに申請用紙を置いている場合もあります。

 

主治医に申請用紙に記入と、診断書を書いてもらう

申請用紙を主治医に渡し、記入してもらう必要があります。

基本的に記載までに時間を頂くことになり、1~2週間程度を考えておく必要があります。

あとは、通院している病院の医師に診断書を書いてもらう必要があります。

担当窓口で置いてある場合が多いですが、クリニックに置かれていることもあります。

 

申請書類を担当窓口に持っていく

申請書類を担当窓口まで持っていきましょう。

申請する担当窓口は各都道府県によって異なりますが、障害福祉課、保健福祉課が担当する場合が多いようです。


申請書類は、

自立支援医療支給認定申請書

医師の診断書

健康保険証

また、世帯の所得状況が把握できる資料が必要な場合もあります。

自治体で異なる場合がありますので、詳しくは担当窓口に問い合わせください。

 

自立支援医療受給者証が届く

約1カ月ほど経つと、自立支援医療受給者証が送られています。

これをクリニックや薬局で提示すれば、自立支援医療の適用となります。

注意点は、事前に登録した医療機関(クリニックや薬局)でしか利用できない点です。

転院する場合は、自立支援医療指定医療機関の変更を担当窓口で行わないといけません。

また自立支援医療受給者証の有効期限は1年ですので、毎年更新が必要となります。

更新の申請は有効期限が切れる3か月前から受付できます。

病状や治療方針に大きな変更がない場合は、2回に1回は医師の診断書の省略ができます。

 

 

うつ病の通院医療費を軽減できる、自立支援医療制度のまとめ

自立支援医療は、患者であるアナタの経済的負担を軽減してくれるありがたい制度です。

うつ病の治療は、再発予防期も含めると長い期間に及びますので、ぜひ申請しましょう。


ここで1つ注意点があるんですが、自立支援医療はあくまでも「精神疾患の治療のため」に適用されるものです。

よくあるのが、受診ついでに精神科治療以外のお薬をもらうというケース。

この時、医師は診察して必要があると判断されれば風邪薬やアレルギーのお薬などを出すことはできますが、これは精神疾患の治療ではありません。

こういったケースの場合は薬代は、自立支援医療の適用外となり通常の3割負担となります。

時々、「全てのお薬が1割になる」と誤解する人がいるらしいですけど、違いますから注意して下さいね。